頭の中がうるさくて寝れない夜は、考えを止めようとすると逆効果です
眠りたいのに、頭の中で誰かがずっとしゃべっている。
昼間に言われたひと言。 送ったLINEの言い回し。 明日の予定。 何年も前の、思い出したくもない失敗。
一つ片づくと、次が出てくる。 目は疲れているのに、頭だけが起きている。
「もう考えるのはやめよう」 そう決めて目を閉じても、おしゃべりはいっこうに終わってくれない。
そんな夜って、ありますよね。
これはあなたがおかしいからではありません。 眠れない夜に考え事が止まらなくなるのは、多くの人に起きることです。
だから最初に、いちばん大事なことをお伝えしておきます。
頭の中がうるさい夜は、考えを止めようとしなくていいんです。
吐く息を、吸う息より長くする。 やることはそれだけです。
止めようとするほど、頭はかえってにぎやかになりますから。
なぜそうなるのか。どんなふうに吐けばいいのか。 ここからは、布団に入ったまま読みながら試せることだけを書きます。
なぜ夜になると頭がうるさくなるのか
夜に頭がうるさくなるのは、まわりが静かになって、頭が急にヒマになるからです。

昼間のあなたは、たくさんのものに囲まれています。 仕事、人の声、通知、やるべきこと。 頭はそれらに対応するので精いっぱいで、考え事をしている余裕がありません。
ところが、夜になって部屋が暗くなり、音が消えると、どうなるか。
昼間に後回しにしていた考え事が、「やっと自分の番だ」とばかりに、次々と出てくるんです。
つまり、夜に頭がうるさいのは、心が弱いからではありません。 昼間、それだけ頭を使っていたということです。
ただ、昼間に働きつづけた頭ほど、夜に「止まれ」と命令されると、かえって言うことを聞かなくなります。
考えないようにすると、なぜもっと考えてしまうのか
「考えるな」という命令そのものが、頭に新しい仕事を渡してしまうからです。
ここで一つ試してほしいことがあります。
今から10秒間、シロクマのことだけは絶対に考えないでください。
……どうでしたか?
たぶん、頭の中にシロクマが出てきたと思います。 心理学では「シロクマ効果」と呼ばれている、有名な話です。
眠れない夜にも、同じことが起きています。
「もう考えるのはやめよう」 「早く寝なきゃ」 「明日早いのに」
こうやって自分を急かすほど、頭の中のおしゃべりは大きくなっていきます。 止めようとすること自体が、新しい考え事になってしまうんですね。
羊を数えるのも、秒数を数える呼吸法も、じつは同じなんです。 どちらも、数えることで考えを追い出そうとしている。 でも、数えることそのものが、頭の仕事です。 だから、数がわからなくなったとたん、頭はまたにぎやかになります。
今夜は、やり方を変えましょう。
考えを止めようとするのを、やめるんです。
頭のおしゃべりを止めないなら、どうすればいいのか
頭はそのままにして、体のほうから働きかけます。
頭の中のおしゃべりは、言葉で黙らせることはできません。 言葉には言葉が返ってくるからです。
でも、体は違います。 体は言葉には応えませんが、動きにはすなおに応えてくれます。
そして、布団の中で横になったまま、いちばん簡単に変えられる体の動きが、呼吸です。
どんなふうに吐けばいいのか
口をすぼめて、吸う息より長く、細く吐いてください。
「深呼吸なら、もうやったよ」 そう思ったかもしれませんね。
多くの人は、深呼吸というと「大きく吸う」ほうに意識が向きます。 でも、気持ちを落ち着かせたいときに大切なのは、吐くほうです。
息を吐いているあいだは、心拍が少しゆっくりになります。 吐く時間を長くすれば、そのゆっくりな時間も長くなります。

やり方はこれだけです。
- 口をすぼめて、ろうそくの火を消さずに揺らすくらいの弱さで、細く長く息を吐く
- 吐ききったら、鼻から自然に空気が入ってくるのを待つ
- これを、5回だけくり返す
ポイントは「5回だけ」と決めることです。 「眠れるまで」と決めてしまうと、それがまたプレッシャーになりますから。
5回吐き終わったら、それでおしまいです。 眠れていなくても、そのまま目を閉じて、ふだんの呼吸に戻ってください。 まだ頭がうるさいときは、もう5回。それでいいんです。
それから、スマホは手放さなくてかまいません。 寝る前のスマホはやめましょう、とよく言われますが、私はそうは言いません。 眠れない夜にスマホを我慢しようとするのも、頭に仕事を一つ増やすことになるからです。 手に持ったままでいいので、画面を伏せて、5回だけ吐いてみてください。
途中で考え事が出てきても、問題ありません。 「あ、また明日のことを考えてたな」と気づいたら、また吐く息に戻ってくればいい。 気づいて戻る。それをくり返すだけです。
上手な呼吸も、下手な呼吸もありません。 ゆっくり吐けたら、それで十分です。
夜中に浮かんだ悩みは、どうすればいいのか
朝の自分に預けてください。

夜に出した結論は、たいてい実際より暗い。
夜中に考えると、どうしようもなく大きく見えた悩み。 それが朝、明るい光の中で考えてみると、「あれ、そこまでじゃなかったな」と思えた。 そんな経験、ありませんか?
疲れた夜の頭は、物事を必要以上に重く見せてしまうクセがあります。
だから、こう決めてしまいましょう。
「夜の自分には、大事な判断をさせない」
今出てきた考え事は、どれも「明日の朝の自分」に預けておけばいいんです。 明るい朝に考えるあなたのほうが、夜中のあなたより、物事を正しい大きさで見られますから。
今夜の仕事は、ゆっくり吐くことだけです。
どれくらい吐けば「長い」のか
決まった秒数はありません。吸う息より長く吐けていれば、それで十分です。
ただ、目を閉じて一人でやっていると、自分の息がどれくらい長いのか、意外とわからないものです。
私はZENシャボン(息でシャボン玉を吹く iPhone アプリ)を開発しています。 スマホに息を吹きかけるとシャボン玉ができる。それが自然と深呼吸になるというアプリです。 深呼吸しながらシャボン玉が生まれては消える様子を眺めたり、シャボン玉を割ってみたりするだけで、だんだんと意識が頭から今この瞬間に向いてくるように設計しました。 季節や時間帯によって、背景の湖畔は姿や音が変わり、生き物も訪れるので、自然の中にいるような気分をどこでも味わうことができることも特徴です。 よかったらぜひ使ってみてください!
今夜のあなたが、少しでもやわらかい気持ちで眠りにつけますように。
おやすみなさい。
よくある質問
頭の中がうるさくて眠れないのは、ADHDや病気ですか?
頭の中がうるさい感じがあるだけで、ADHDや病気だと判断することはできません。眠れない夜に考え事が止まらなくなるのは、多くの人に起きることです。ただ、眠れない日が2週間以上続くとき、日中の生活に支障が出ているとき、動悸や強い不安があるときは、医療機関に相談してください。夜だけでなく、昼間の集中しにくさや忘れ物の多さが子どものころから続いていて気になる場合も、医療機関で相談できます。
考え事が止まらないときは、布団から出たほうがいいですか?
布団の中で考え事が続いて、つらい時間が長くなるなら、一度布団を出て暗めの部屋で静かに過ごし、眠くなってから戻るのも一つの方法です。布団にいたまま試すなら、口をすぼめてゆっくり長く吐く呼吸を、5回だけくり返してみてください。
4-7-8呼吸法が苦しいときは、どうしたらいいですか?
4-7-8呼吸法は、4秒吸って7秒止め、8秒かけて吐くやり方です。息を止めることや秒数を数えることが苦しいなら、やめてかまいません。秒数は数えずに、口をすぼめてゆっくり吐き、吐ききったら鼻から自然に空気が入ってくるのを待つだけで十分です。苦しくなったら、いつでもふだんの呼吸に戻ってください。
瞑想が苦手でも、寝る前の呼吸はできますか?
できます。途中で考え事が出てきてもかまいません。「あ、また考えてたな」と気づいたら、吐く息に戻ってくればいいだけです。